次の文は、地球の形状及び測量の基準について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の中から選べ。
1. 地球上の位置を緯度、経度で表すための基準として、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
2.世界測地系において、回転楕円体はその中心が地球の重心と一致するものであり、その長軸が地球の自転軸と一致するものである。
3.GNSS測量で直接得られる高さは、楕円体高である。
4.ジオイド高は、楕円体高と標高の差から計算できる。
5.地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)の座標値から、当該座標の地点における緯度、経度及び楕円体高を計算できる。
解答
正解は2です。
正 1. 地球上の位置を緯度、経度で表すための基準として、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
誤 2.世界測地系において、回転楕円体はその中心が地球の重心と一致するものであり、その長軸が地球の自転軸と一致するものである。
正 3.GNSS測量で直接得られる高さは、楕円体高である。
正 4.ジオイド高は、楕円体高と標高の差から計算できる。
正 5.地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)の座標値から、当該座標の地点における緯度、経度及び楕円体高を計算できる。
解説
正 1. 地球上の位置を緯度、経度で表すための基準として、地球の形状と大きさに近似した回転楕円体が用いられる。
第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。
2 前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。
3 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
測量法(e-Gov法令検索)
誤 2.世界測地系において、回転楕円体はその中心が地球の重心と一致するものであり、その長軸が地球の自転軸と一致するものである。
第十一条
3 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
正 3.GNSS測量で直接得られる高さは、楕円体高である。
ジオイドとは
日本の標高の基準は、測量法で平均海面と定められています。この平均海面を仮想的に陸地へ延長した面をジオイドといいます。
国土地理院では、重力測量や水準測量の結果などから、地球を仮想的に表した楕円体表面からジオイドまでの高さ(ジオイド高)を決めています。衛星測位で決まる高さ(楕円体高)からジオイド高を引くことで、簡単に標高を求めることができます。
ジオイドを知る(国土地理院HP)
正 4.ジオイド高は、楕円体高と標高の差から計算できる。
正 5.地心直交座標系(平成14年国土交通省告示第185号)の座標値から、当該座標の地点における緯度、経度及び楕円体高を計算できる。
地心直交座標系の定義
第一 地心直交座標系は、法第十一条第三項に規定する扁平な回転楕円体の中心で互いに直交するX軸、
Y軸及びZ軸の三軸からなり、各軸の要件は、次のとおりとする。
一 X軸は、回転楕円体の中心及び経度0度の子午線と赤道との交点を通る直線とし、回転楕円体の中心
から経度0度の子午線と赤道との交点に向かう値を正とする。
二 Y軸は、回転楕円体の中心及び東経九十度の子午線と赤道との交点を通る直線とし、回転楕円体の
中心から東経九十度の子午線と赤道との交点に向かう値を正とする。
三 Z軸は、回転楕円体の短軸と一致し、回転楕円体の中心から北に向う値を正とする。
第二 地心直交座標系における日本経緯度原点の座標値は、次の表のとおりとする。
軸 | 座標値 |
---|---|
X軸 | -3,959,340.203メートル |
Y軸 | 3,352,854.274メートル |
Z軸 | 3,697,471.413メートル |
上記内容を完全に理解するのは難しいので暗記で覚えた方が良いでしょう。